2018年学校自慢エコ大賞 エコ作文部門大賞 岡山県岡山市立政田小学校5年 山本淳登くん
田んぼ が教えてくれたこと
  平成30年7月6日の夜、家中におぞましい音が鳴りひびいた。大雨特別警報を知らせる音だ。驚いたが、その晩はたいして気にとめる事なく寝た。なぜなら、ぼくの住む岡山は、晴れの国と言われているので、洪水の心配なんてしなくていいと思っていたからだ。しかし、翌朝にニュースで大変な事になっているのを知った。そして、ぼくの住んでいる地域もあと少しで浸水被害にあう所だったと知った。記録的な大雨が降ったにもかかわらず、被害あわなかったのはなぜかと考えた。そして、数ある理由のひとつに、田んぼが関係しているのではないかと思った。
 ぼくの住んでいる地域は、岡山市の南東部にあたるが、今から三二八年前の一六九一年に、当時の岡山藩士だった津田永忠によって、新田開拓された土地である。そのため、今でもぼくの住む地域は、広大な田んぼが広がっている。ぼくの学校では、そういった地域の歴史と共に、一年間を通して米作りを学んでいる。五月に田植え、九月に青田刈り、十一月に稲刈り、十二月にお飾り作りを体験する。学校から歩いて十五分くらいの所にある田んぼを地域の方が貸してくださっていて、そこで米作りを教わった。
 ぼくが五月に初めて田植えを体験した時、田んぼへの道中、まわりを見渡すと、まっ平らな田んぼが広がっていた。その時ぼくは、「なんで田んぼばかりなんじゃろう。レストランやスーパーの方がええなあ。」と思った。しかし、今はそう思わない。なぜなら、田んぼのもつ、米作りだけでない大切な役割りに気がついたからだ。七月の西日本豪雨の時、ぼくの地域が浸水被害にあわずにすんだのは、広大な田んぼが、貯水池のかわりになっていたのではと思う。
 農水省総合食料局のホームページ資料によると、洪水時の田んぼは、十アールあたり約二十万リットルもの水を貯めることができるそうだ。この水量は、二十五メートルプールのおよそ一杯分にあたる。しかも、田んぼにに貯まった水は、時間をかけてゆっくりと地下にしみこみ、川になったり、地下水になったりするため、洪水を防いでくれるのだ。また、田んぼに貯まった水が蒸発することで、気温の上昇をおさえてくれるうえに、蒸発した水が雨雲を作り、再び大地をうるおしてくれるそうだ。
 ぼくは今まで田んぼは、米を作ることだけにあるのだと思っていた。しかし、西日本豪雨をきっかけに、また学校での米作り体験を通して、田んぼのもつ力を改めて知ることができた。
 田んぼはぼく達の地域だけでなく、日本中の環境を支えている。そんな田んぼを大切にし、これからも守り続けていくべきだと思う。